安倍川を遡行して、浅い春を楽しみました
2021年4月25日(日)
少し遠出の山歩きに行ってきました。
目的はキバナハナネコノメです。関東では見られない花なので、楽しみにしていました。
行先は静岡市です。南北に流れる安倍川の最上流部まで、市街地からは40㎞以上。梅ヶ島温泉からは林道をさらに登って安倍峠まで本来であれば行けるのですが、今は19年の台風の影響により通行止め。なので、温泉の少し上から登山スタートです。
登山口には市街地ではもうすっかり終わってしまった桜が満開。山は早春の装いです。
早速登山口には緑色が美しいホソバテンナンショウが咲いていました。スルガテンナンショウかなとも思いましたが、真ん中の棒の形が違うようです。
歩きやすい道が続いています。
林野庁がしっかりと手入れをしている展示林とかで、実に美しい杉林です。
遠くまで見通すことができました。
トウゴクミツバツツジと思われる紫色のツツジが、美しく咲いています。
1時間ほど急な坂道を登りきると、林道の駐車場に出ました。クロモジが花を咲かせています。
ここから少し林道歩きです。
林道から安倍峠の旧歩道へと入ります。安倍川の最上流部を遡行する道です。
歩道に入ってすぐの沢筋から、早速キバナハナネコノメを発見しました。
全く見たことのない花との出会いは、興奮します。
湿った岩の上やざれた河原に点々と生えていました。
トウゴクサバノオかと思いましたが、ツルシロカネソウでした。ずいぶん花が立派です。
1mほどの川幅の清流を何度か渡渉しながら進みます。
またまたネコノメソウの仲間、イワボタン。なかなか目立つ色。
実はよくいるとハナネコノメのような花が付いています。なかなか美しい。
きれいな花の前で、昼食にしました。
これってかなり薄いけど、シロバナハナネコノメとの雑種?だったりすると嬉しいんだけど、さてどうでしょう。
花弁は黄色い部分。とても繊細な花。
またまたネコノメソウのお仲間。多分ツルネコノメソウだと思いますが。
音もなく飛び回る鳥がいました。後で調べるとカワガラスでした。初見です。
流れはかなり細くなり、水音も静かになります。緩やかな谷間を静かに流れます。こういう雰囲気の場所は初めてです。
峠の手前に、静岡市水源地の立て看板がありました。ここが安倍川の源頭部のようです。
もう流れていない水たまりがありました。みずは石の間を抜けて下流へと下っているようです。水が湧いているところがどこかにあるとは思いますが、よくわかりませんでした。
水が途切れてからもしばらく緩やかな谷間の道が続き、ほぼ平坦になったあたりで安倍峠に到着です。古い石仏が置かれていました。
少し上を走る林道に出て、道を戻ります。この後八紘嶺を目指す予定でしたが、天候が悪くなり、ぱらぱらと雨模様になったため、ここから引き返します。
林道から登山道へと入り、少し道が不明瞭なところもあったりして時間がかかりましたが、ほどなく正規の道へ。
サクサクと下山し、15時には登山口に戻りました。
梅ヶ島温泉は、安倍峠への道の最奥に位置する静岡の奥座敷です。安倍川の清流に沿って、道があり、その道に5件ほどの旅館が並びます。
一段上にも数件の旅館があり、バスの終着点になっていました。
一種独特の風情のある温泉です。
今回宿泊したのは、泉屋旅館。リーズナブルに濃い温泉を楽しめました。
お湯のふるさと公園として整備されている安倍川の対岸には、かつて公共の温泉施設があったよう。移設したあとで、公園となっているが、その裏手の滝のあたりが、梅ヶ島温泉の源泉地帯となっていて、何本もの源泉がありました。これらが各旅館に送られているようです。
公園ではクリンソウが見ごろを迎えていました。
公園から見る温泉街。
安倍川の上流部を望みます。まさにこの川の最初の一滴まで行ったのかと思うと、感慨深いです。
翌朝、宿の窓から見える山は新緑で染まっていました。
手作りのわさび漬け屋さんに寄ってみました。これ以外にもいろいろと手作りをされているようで、氷代わりに沢の水を凍らせたペットボトルを頂きました。
溶けてからも清水を楽しめるという、なんという素晴らしいサービス。
静岡市街まで下り、安倍川つながりということで、安倍川餅を頂くことにしました。
とろとろのおもちをあんこときなこでいただきます。
右はわさび醤油でいただくからみ餅。これはお店でないと味わえない逸品です。
風情のある店内です。朝一番なので、お客さんには会いませんでした。
こちらも市街地にある登呂遺跡。教科書で知っている有名遺跡なので、ちらっと寄り道です。
最後は静岡の名店さわやかのハンバーグを頂きました。なるほど、とてもおいしいです。
静岡市のちょっと変わった旅、山歩きは勿論ですが、久しぶりに武蔵を出て異国の空気を吸うことができました。