水戸室内管弦楽団第107回定期演奏会
2021年6月5日(土) 水戸芸術館
エルガー:序奏とアレグロ 作品47
ボイエルデュー:ハープ協奏曲 ハ長調
ハープ独奏:吉野直子
(アンコール)アッセルマン:泉
マーラー:アダージェット(交響曲 第5番 嬰ハ短調 より 第4楽章)
モーツァルト: 交響曲 第35番 二長調 K.385 〈ハフナー〉
水戸室内管弦楽団(指揮者なし)
今年初めての水戸、そして実演の演奏会も今年初となりました。見慣れた芸術館も、なんとなくコロナの影響により緊張感が漂っていました。
水戸室内管弦楽団の演奏会は、指揮者なしのプログラム。観客は前回よりは少し多めに入れていますが、2人座って1人分間に空席を挟みながらという席配置です。
メンバーはいつ門顔ぶれだけというわけにはいきませんが、多くのメンバーが集結してくれたことには感謝です。外国からの方もいらっしゃるのでしょうか。
エルガーは、4名の弦楽四重奏と弦楽合奏の協奏曲のような曲で、四重奏(竹澤、豊島、原田、川本)とチェロパート以外は立って演奏という趣向。
初めて聞いたが、濃厚さと明るさの交じり合った良い曲でした。
ハープ協奏曲は、「フランスのモーツァルト」と呼ばれるポイエルデューという人の作曲。軽やかで貴族のサロンにでもいるような、なんとも美しい作品。
ハープの音量はもちろん弦楽器群にはかなわないと思うのですが、うまくバトンタッチしながら、曲が進みます。芸術館の距離感もとても良いと思いました。
アンコールの「泉」という曲ははハープの独奏。あまりにもきれいな曲で、心が浄化されました。ハープの曲としてはとても有名破局のようです。
後半は個人的に一番聞きたかった、マーラーのアダージェットから。水戸室内管弦楽団の初期のCDで聞き馴染んでいる曲です。
あまりにも甘美な世界と、ハープらコントラバスからなる弦を弾く音の絶妙な組み合わせで、陶酔の世界へと誘われました。どうしたらこういう曲を思いつくんだろうと・・・。
最後の音が本当にきれいに静寂へと消えていき、会場が無音の音に包まれたのが印象的でした。少しだけ早めに拍手が起きてしまいましたが、その拍手も雰囲気の中で途切れ、再開された静寂。そして由美が下ろされた瞬間、会場全体から空気が弛緩したようなため息とともに拍手が鳴り響きました。
いつも思いますが、MCOは、楽団、会場、観客が一体となって作り上げているなあと痛感しました。
最後は指揮者なしでのハフナー。2012年にサントリーホールで聞いて以来です。モーツァルトの素晴らしい世界がきらびやかに演奏されました。
水戸室内管弦楽団、そして芸術館は、どんな時でも完璧なコンサートを提供してくれることを、しみじみと思いながら、そしてずいぶん前に聞いたコンサートなんかのことを思い出しながら聞いていました。
水戸の町は住んでいたころから20年以上が経過し、一気に変わろうとしていました。芸術館の周りも工事が進んでいます。ちょっと残念な気もしなくはないですが。
また10月のコンサートを楽しみに水戸に来たいと思います。
そして、年4回の通常サイクルに戻ることを楽しみに待っています。