アンフォラのつぼ

花鳥風月の写真とクラシック音楽(特に小澤征爾)を追いかけています。

5/11新日本フィル『特別演奏会

5/11小澤征爾指揮新日本フィルハーモニー交響楽団の特別演奏会に行ってきました。
2016春のオザワ祭り(個人的な)の最終回です。


バッハ:管弦楽組曲第3番よりアリア 熊本地震犠牲者追悼のための献奏>
グリーグ作曲  組曲「ホルベアの時代より」 
 指揮:小澤征爾

モーツァルト作曲  セレナード第12番ハ短調 K.388 「ナハトムジーク」
 指揮者なし
ベートーヴェン作曲  劇音楽「エグモント」序曲
 指揮:小澤征爾



プログラムの前に熊本地震の追悼としてのアリアが演奏されました。
私が初めて生オザワに接したのが1995年の阪神大震災直後のN響との協演でした。
この時もアリアが演奏されました。
そして911東日本大震災たかだか20年の間に、このアリアを何度も耳にしました。
悲劇的な出来事が数年に一度は起こっているということですね。

メンバーとともに舞台に小澤さんが登場し、静かにアリアが始まります。
ゆったりと静謐な素晴らしい演奏で、最後には腕を下すことなく自然に消えていく形で、演奏が終わり、長い静寂の後、拍手なくひとまず部隊を下がります。
この最後の消えゆく音は、やはり水戸室内に軍配が上がります。少し音が不安定なところがありました。

グリーグのホルベアは、昨年の奥志賀アカデミーで演奏された曲。その時は小澤さんが急きょ不在だったので、指揮者なしで演奏されました。
今回の演奏は、指揮者によってってもドライブの聞いた、美しい演奏でした。
学生たちの演奏がもう少しはじけた感じがしたので、よりしっとり感があるような気がしました。
それにしてもこの曲は良い曲です!

休憩をはさんで、管楽奏者8人のセレナーデ。
きれいな曲ではあるけれど、グランパルティータのほうが断然好きかな。

そして最後にエグモント序曲。
ベルリンで聞いてきたばかりだけに、期待の曲。
小澤さんがサイトウキネンなどと同じように楽団員とともに登場。
振り下ろした手から、最初の劇的な和音が鳴り響きます。
これがまた長い!ベルリンの時よりも多分長い。管楽器の人よくそこまで息が続きますね!ってくらい長い。
そして手の動きによく呼応してオーケストラが動き出す。
なるほど!
同じ曲を別のオーケストラで短期間に聞くことの面白さがわかる。
総合力ではやはりベルリンフィルに軍配を上げざるを得ない。音の厚みといい深みといい、やはりさすが。
でも指揮に対する反応の敏感さと切れの良さは、新日本フィルが素晴らしい。
そういう意味では、小澤さんの意図は新日本フィルのほうが強く反映さるってことなんだろか。
手の動きに合わせてきりっと、ぴたっと音楽が合わせられていき、あっという間の10分。
名演とは言い切れないけど快演ではありました!

拍手が鳴りやまず、小澤さんだけ呼び戻されるというのも珍しい一コマ。
その後久しぶりにお見送りでもしようかと楽屋口へ。
この頃小澤さんが対応してくれないこともあってか、さほど人はいませんでしたが、
30分ほどして小澤さん一家が登場。
元気そうな(意外と疲れが少なそうな)姿を見せてくれました。
そこにいた10歳くらいの男の子に何かを聞かれ、「ピアノをやった方がいい。おれは指揮者の勉強は中三から始めたんだよ」なんていう会話も。

元気そうな姿が見られて大変うれしく、そしてさわやかな演奏会でした。