アンフォラのつぼ

花鳥風月の写真とクラシック音楽(特に小澤征爾)を追いかけています。

古代都市ボスラ【シリア】

文化遺産】古代都市ボスラ
登録名:Ancient City of Bosra
登録年:1980年
 
 
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【概要】
現在のシリア南部、ヨルダン国境にほど近いところにある。紀元前70年ごろ、ペトラ(ヨルダン)を中心に栄えたナバタイ王国の橋頭堡として栄えた。その後、ローマ帝国のアラビア属州の州都となり、最盛期を迎える。623年にはイスラム化し、メッカへの巡礼の中継地として繁栄した。ローマ劇場の遺構は、イスラム化したのちにシタデル(城塞)として利用されたことから建造当時の状態をよく残しており、古代ローマ世界でもっとも保存状態が良いものと言われている。遺跡の多くが、この近くで産する玄武岩でできており、黒味を帯びているのが特徴。
 
 
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ダマスカスからのバスが到着する広場の前にシタデルがそびえる。中にローマ劇場があるとは思えない堅牢な姿だ。
 
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シタデルに入ると、玄武岩が積み重ねられた暗い通路が続く。
 
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かなりの急勾配に、椅子が作られていて、通路や階段がうまく配置されている。とはいえ、座ってみると足がすくんでしまうような感覚がある。観客席の上部にある列柱は、ここにのみ残っているもの。
 
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舞台の背後には、スケナエ・フロンスと呼ばれる荘玲奈構造物がある。
 
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シタデルの北から、神殿(手前)、カリベ(右奥)、ニンファエウム(左奥)などを望む。左手に少しだけ見えているのは浴場。一番奥に見えるのは、世界最古のモスクのひとつで、720年頃に建てられたウマール・モスク。
 
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ローマ時代の凱旋門である灯りの門。
 
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東西に延びる列柱通路。ボスラの遺跡は、人の生活と一体化しており、遺跡を歩いていると、子どもの声や車の走る音が聞こえる。それはそれで面白い光景だ。
 
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7世紀の修道院跡。イスラム教の創始者ムハンマドが、若いころにキャラバンでこの地を訪れ、この修道院にいたハビラという修道士に、将来預言者になることを予言されたとされている。
 
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カテドラルの跡。
 
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ナバテア人の門。ボスラの東門にあたる。
  
 
旅行記
2010年6月4日
ダマスカスの西郊外にあるガラージュ・ソーマリーエからバスが出る。2時間に1本ほど敷かないので、時間が合わないとずいぶん待たされることになる。ずいぶん待って到着したバスに乗ったのは、外国人観光客10名ほどと、地元の人たち。そのバスがおんぼろで、途中故障のために立ち往生し、新しいバスを待ったりしたために、3時間もかかってしまった。通常は1時間45分ほど。
バス停の近くにあるカラカラというレストランで、帰りのバスの予約を取ってくれる(いつもかどうかは分からない)。シタデル、遺跡合わせて約3時間もあれば、充分見て回れる。今回は、35度を超す気温のため、一部のルートをカットしたりして2時間ほどで見学。暑い時期だからか、遺跡の方にはほとんど観光客はいなかった。遺跡の状態はそれほど良くないが、事前にある程度地図や資料を把握しておけば、それなりに様子が分かる。建物としてしっかり残っているのは、シタデルと浴場くらいしかないが、いくつかの門は見ごたえがある。
帰りはカラカラ前の広場にバスが着く。始発ではないので、しっかり予約が必要なようだ。ダマスカスの到着もガラージュ・ソーマリーエになる。