アンフォラのつぼ

花鳥風月の写真とクラシック音楽(特に小澤征爾)を追いかけています。

シレトコスミレ【スミレ科】

シレトコスミレ(知床菫)

科名:スミレ科スミレ属
学名:Viola kitamiana
草丈:5~15㎝
 
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2004年7月5日 北海道知床半島
 
国内では知床半島の硫黄山周辺にのみ飼育している希少なスミレ。白地に中央が黄、さらに紫色のスジと、スミレの中でも気品のある色の組み合わせで、とても美しく、似たような色合いのすみれはほとんどありません。硫黄山の山頂付近の砂礫地という過酷な環境に咲くだけに、葉はしっかりとしています。
ちなみに、この写真は、かなり大きな株ですが、砂礫地ではなく、雪渓脇の斜面に生えていたものです。砂礫地のものは、なかなか大きな株はありませんでした。
 
 
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2004年7月5日 北海道知床半島
 
国外では択捉島にも自生していた記録があったと言います。いがりまさしさんの「日本のすみれ」(山と渓谷社)のコラムページで紹介されていて、かなり憧れの強いスミレでした。そこで、日帰り登山を敢行しました。
前日の最終便で網走に向かい、現地にいたカメラマンの方と合流し、早朝カムイワッカ湯の滝近くの登山口へ。早朝の知床の林道は、エゾジカに占拠されていました。
黄山は、ヒグマの生息域であることから、非常に不安はありましたが、10分おきに大声を出したり、鈴やラジオをつけたりと防御しました。原生林を抜け、ハイマツに覆われた尾根を登り、雪がなくなれば滝ではないかと思われるような雪渓を詰めていくと、砂礫地へとたどり着きます。そこがシレトコスミレの生育地でした。雲の上に出てしまい、周囲は雲海。遠く知床岳の先に、国後島が見えていました。まさに貴重な花がひっそりと咲く場所にぴったりでした。
下山は雪渓を滑り降りる感じです。そこで、初めて他の人と出会いました。私たちを追い越して行ったのは、羅臼から縦走していた教員2人組で、一人はなんと外国の方でした。
下山後、オホーツク海沿岸の原生花園を眺めながら網走に向かい、その日の夕方の便で帰京しました。天気に恵まれたことがなによりです。若かったからできた24時間知床すみれ旅でした。
 
 
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なかなか急こう配の雪渓です。周辺にはエゾコザクラなどが咲きます。
 
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奥に見えるのが知床岳。右端に国後島の一部が見えています。こんな場所に咲きます。
 
 
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