アンフォラのつぼ

花鳥風月の写真とクラシック音楽(特に小澤征爾)を追いかけています。

SKF松本2011 兵士の物語

舞台の様子や感想を備忘録として書いておこうと思います。
この後で観劇を予定されている場合は、内容が書かれているのでご注意を。
 
寝坊したために、12時のスーパーあずさに飛び乗って出発。
松本に着いたらそのまますぐにタクシーに乗り込み芸術館へ。
 
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2011年8月20日(土) 15:00開演 まつもと市民芸術館 実験劇場
 
ストラヴィンスキー:「兵士の物語」
 
芸術監督:串田和美
 
兵士:石丸幹二
語り手:福井貴一
プリンセス:麻生花帆
悪魔:串田和美
 
台本:シャルル・フェルディナン・ラミューズ   
演出:ロラン・レヴィ
美術:フロランス・エヴラール
 
ヴァイオリン:郷古廉
コントラバス:谷口拓史
クラリネット:吉田誠
ファゴット:星野美香
トランペット:只友佑季
トロンボーン:今村岳志
パーカッション:中谷孝哉
 
 
実験劇場というホールは一体どこなのか、見当もついていなかったのですが、行ってみてまずその場所に驚きました。いつもはグッズの販売などをしているロビーのところから直接入れるようになっており、小ぢんまりとした空間がありました。客席は400人強が入れるようです。公式サイトによると、この劇場は仮設で設置されるもののようです。
 
舞台はオーケストラのようにイスが半円状に配置されているところから始まります。その間に四角い台が3つあります。
戦争でフルメンバーが集まれなかったオーケストラという設定だそうで、そういったことがプログラム(500円)に記載されていました。
舞台袖にあるテーブルで、水などを出演者全員が飲んでいるところから始まります。
演奏者も劇の一部を担っているのが面白い演出です。
 
物語のほとんどは語り手が導いていき、あまり兵士のセリフは多くないのですが、都度効果的な動きをし、さらに悪魔がとても良い味で加わっていきます。
オーケストラの椅子や譜面台も、無造作なようでいて良く計算されていて、その上を歩いたり、席を移動したりしながら劇が進んでいきます。
元々演劇を見る機会が少ないので、こういった演出だけでもずいぶん感心しました。
キーとなるヴァイオリンと悪魔の本は、なんと画用紙に文字を書いたものを使っていました。これがまったく稚拙な感じではなく、最後まで実物のように話を引っ張っていきます。
 
演奏は7人の演奏家たちです。ひとりひとりかなりの技術を要する曲のようで、聞いているだけでもアクロバティックな音の動きにびっくりしました。物語の雰囲気とともにいくつものフレーズが印象に残りました。
今回最も目を見張ったのが、ベテランのパーカッション奏者中谷さんの素晴らしい演奏です。楽器の数が倍以上もあるのかと思わせるほど、バチのあらゆる部分、太鼓の面のあらゆる部分をたたきわけながら、音楽を作っていきます。さらにお芝居もしているのですから、感動です。
 
第2部になり、王女が登場する場面では、急に後ろにあった幕が落ち、その後ろで美しくかつ妖艶な舞踏が始まります。麻生さんという女優さんは元々日本舞踊から幅広く活躍している方だそうで、登場シーンの踊りは音楽のない静寂の中での踊りでしたが、ひきつけられました。
 
そしてあっと驚く最後、王女を悪魔側の人物としてとらえ、芸術館の舞台の特徴をうまく生かしたスケールの大きな演出で、悪魔の巨大な影を描きます。
もうひとつの緞帳が上がると、背後に広がるのは、芸術館大ホール。つまり、実験劇場は大ホールの後舞台にあたり、仕切られている幕を外せば、舞台から観客席を見ているという配置になります。それを最大限に生かし、誰もいない背後の巨大な観客席の中央に、影を大きくひいた悪魔が嘲り笑っているかのように動いているという演出。この劇場はシートが真っ赤なので、色彩としても効果的。
度肝を抜かれました。
そして、この角度からホールを見る機会がないので、それにもちょっとしびれました。
 
1時間15分ほどの演劇鑑賞は、大満足ののちに終演しました。
何もかもが大満足なのですが、やはり悪魔役であり、この芸術館の芸術監督である串田和美さんが際立っていました。
いや~、面白かった~~!
カーテンコールには、音楽監督の小澤さんが来るかなと思いましたが、今日はお見えではなかったようです。
 
というわけで、余韻に浸りながら、いつものお店へと明るいうちから流れて行きました!
 
 
翌日のバルトークプログラムに続く・・・