アンフォラのつぼ

花鳥風月の写真とクラシック音楽(特に小澤征爾)を追いかけています。

【シリア旅行記】第6日 レバノン日帰り

 
2010年6月3日(木)
今日はダマスカスを起点に、レバノンに日帰り旅行です。
ダマスカスからベイルートへの街道を通り、ベカー高原にある世界遺産バールベックと、国境付近のアンジャル遺跡を訪ねます。
 
ダマスカス中心部にあるホテルから、タクシーでガラージュ・ソーマリーエへ。
ここはヨルダンやレバノン、シリア南部方面のバスターミナルです。
20分ほどで、タクシー代はおよそ100SP。これはぼられてないと思います。
 
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まず向かうのは、ベイルート街道沿いでベカー高原への入り口となるシュトゥーラ。
写真のようなセルビスタクシー(相乗りタクシー)で向かいます。
これがなかなかマイナーなところなのか、私たち以外のメンバーが集まらないのです。
運転手の必死の客引きで、50分かかってようやく計6人の乗客が集まりました。
 
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こちらが国境です。
ダマスカスから30分ほどです。
道が良いので120kmくらいまで飛ばすのですが、窓を開け放しなので息ができないほど。
 
国境越えのお作法は、以下の通りです。
・タクシーが停車したシリア国境手前の窓口で、出国料を払います。500SPだったかな。
・再度タクシーに乗り、出入国管理事務所へ。
・そこでは出入国カードを私、パスポートにハンコをおしてもらうだけ。
・さらにタクシーに乗り、写真の建物を車で通過します。運転手さん一度降りて何かしていました。
 荷物入れは必ずチェックされます。
これでシリアは出国。
レバノン出入国管理事務所でタクシーを下車。
・ここではビザを持っていなかったの、「VISA」窓口へ。入国カードも記入します。
 カードは声をかけないとくれませんでした。
 他の人は持っていたみたい。どうしてだろう?
 日帰りなら無料と聞いていたのですが、25000LPかかりました。
これで入国は完了です。
 
国境越えは、車単位で行うので、バスだと時間がかかるようです。
流れは同乗者や運転手が逐一教えてくれるので、とても安心です。
つまり、一蓮托生なので、みんな早く通過したいから特に親切なんですけどね。
 
ということで、シュトゥーラは国境から20分ほどで到着。
街の交差点のようなところがセルビスターミナルのようです。
タクシーを降りると、いろんな人が寄ってたかってどこに行くのかと世話してくれます。
「バールベック」と告げると、タクシーが行ってくれるというので、
セルビス待ちの時間がもったいないので、タクシーに頼むことに。
20$は高かった気がします。10$で充分だったかも。
 
40分ほどでバールベックの町に到着。
遺跡は目の前です。
 
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バールベック遺跡の入り口にある、ヴィーナス神殿です。
この神域を構成する3つの神殿のうちのひとつですが、もっとも保存状態が良くないものです。
 
バールベックは、バール(パルミラではベル)というフェニキア以来の豊穣の神にささげられた神殿で、
古代ローマ時代の最大の聖地として、
多くのイ巡礼が 訪れたところだったようです。
さしずめ、バチカンのようなところでしょうか。
 
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バールベックのプロピュライア(前門)です。
これだけで、この神殿の巨大さが伝わってきます。
ちなみにここから入場料がかかります。
12000LPです。
 
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前庭、中庭と続き、2000年近く前に建てられたユピテル(ジュピター)神殿があります。
パルテノン神殿よりも大きな神殿で、柱の太さも2.2mと巨大なものです。
写真は、中庭にあるいけにえの大祭壇の上から、神殿を眺めています。
人の大きさを見れば、その巨大さが分かると思います。
 
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ユピテル神殿には、現在6本の柱が残されていて、バールベックのシンボルとなっています。
屋根の部分に掘られたライオンの彫刻も有名で、これは下におろされていたものです。
現在、夏に開かれる音楽祭の準備が進んでいて、
この彫刻の裏は客席が設置されていました。
 
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保存状態の良い、バッカス神殿です。
古代の神殿の造りがよくわかります。
 
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バッカス神殿の内部です。圧倒されるような石の圧力があります。
このように壁が残っている神殿の経験は初めてなので、タイムスリップしたような感覚があります。
 
この後出口に向かう遺跡の地下が博物館になっていて、モザイクなどの展示があります。
昼食抜きなので、遺跡前のレストランでジュースで水分補給して、シュトゥーラに戻ります。
 
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帰りは遺跡近くのセルビス乗り場がわかったので、そこからセルビスに乗ります。
ベイルート行きは集まりが良いようですが、シュトゥーラは集まらず、
またしても待ち時間がありました。
ちなみに2$払いました。正規料金はよくわかりませんでしたがOKだったようです。
 
シュトゥーラから、国境近くのアンジャル遺跡までは、またタクシーです。
往復で20$です。
待ち時間もあるので、仕方ないかと思いましたが、
これももう少し値切れた気はします。
 
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アンジャル遺跡は、世界遺産に登録されている遺跡で、
ウマイヤ朝時代のイスラム都市です。
ベカー高原にあり、四方を城壁に囲まれたほぼ正方形の街で、
区画された町並みや、宮殿跡が残っています。
 
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街の中央にある交差点には、パルミラ同様四面門が立っていました。
 
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細いアーチが特徴的な宮殿の跡です。
この都市遺跡は、ローマの影響を受けているそうです。
 
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シュトゥーラに戻り、ダマスカスへと帰るセルビスに乗り込みます。
普通のセダンに運転手込みで6人が乗車です。
手の置き場がなく、こんな感じです。
 
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国境で、同乗者が手続きを済ませるのを待っているところです。
妙な連帯感が生まれます。
今度の国境越えのお作法は、さきほどの逆です。
私はマルチプルのシリアビザを取得していたので、スムーズでした。
 
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ダマスカスに戻って、夜のスークに繰り出しました。
ハミディーエ・スークの奥にあるウマイヤドモスクはライトアップされています。
ずいぶんと賑わっていました。
 
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夜のスークは、昼間よりも活気にあふれていました。
おそらく、地元の人が中心になるからなのでしょう。
日常品を売る店に人が集まっていました。
アイスクリームも相変わらず大人気でした。
 
ということで、レバノン日帰り旅行の6日目は終了です。
本当はもう1日くらい取って、フェニキア関連の遺跡に行きたかったのですが、
今回はここまでが限界でした。
 
レバノンは、外務省の注意情報がでているようですが、
行ってみたところでは特に危険は感じませんでした。
とはいえ、一部地域で内戦が行われたりするところですから、
行くところを含め、充分考えて行動する必要があるのだと思います。
 
ただ、単純な印象としては、
街角にシリアに比べて横文字が多く、開放的な雰囲気でした。
道路状況も秩序があり、アラブ+少しだけヨーロッパといった雰囲気でしょうか。
もう少し政情が安定したら、レバノン杉を見に再度行ってみたい国だと思います。